ベトナム視察時、ベトナム人、日本人問わず様々な企業を訪問し、面談者から現地の生情報を聞いて、進出やビジネスに活かそうと考えておられる方がほとんどだと思います。
ただ、ヒヤリング時に大前提で覚えておいて頂きたいのは、“相手の話が必ず正しいとは限らない”ということです。何故正しいとは限らないのか?ということを以下ご説明させて頂きます。
視察の場では、日本人でもベトナム人でも、たいていの場合善意で話してくれているのですが、結果として正確ではない情報が混ざることがある という特徴があります。
これは「嘘をついている」わけではなく、様々な理由により不正確な情報を伝えてしまうことがあります。
1. 相手も“その時点でのベストの情報”を話しているだけ
多くの場合、案内役や担当者は 善意で、知っている範囲のことを率直に話しています。しかし、以下のような理由で情報が不正確になることも。
ベトナムの制度や運用は変更が早く、担当者が最新アップデートを知らない
現場担当者と面談者で情報共有が完全ではない
自分の経験から見た「一般論」をそのまま説明してしまう
正確な数字や制度名を覚えていないが、雰囲気や印象で答えてしまう
友人、知人からの又聞き情報でその情報自体が不正確だった
つまり、“正しいつもりで話してくれているけれど、実は違う情報” が紛れてしまうということがあります。
2. 「良いところを見せよう」とする“ホスピタリティ効果”
ベトナムの方は来客へのおもてなし精神が強く、視察者に良い印象を持ってもらいたいという気持ちから、
課題よりも長所を先に話す
安心してほしいと思ってリスク説明が控えめになる
自社・自分の担当範囲を少し良く見せてしまう
といった“前向きバイアス”が自然に働きます。こちらが鵜呑みにして相手を過大評価してしまって、実際にビジネスを進めようとすると進まない、あるいは大失敗となることが多いです。
これは悪意ではなく、誠意の表れであることが多いというのがポイントです。
3. 質問の意図が伝わりきらず、ズレた答えが返ってくることがある
日越間では、以下が原因で“質問と回答のズレ”が頻発します。
日本語の微妙なニュアンスがうまく伝わらない
英語で話す場合、用語の定義がズレる
日本語話者でも経験の差などで、日本側の「本当は知りたい核心」が伝わりきってない
「わからない」と言うより、とりあえず答える文化傾向がある
これにより、質問と少し違う答え=正確ではない情報が返ってくることがあります。また、皆さん自体がベトナム事情を理解していないまま質問していることにより答えがズレていることもあります。
4. 日本人同士でも“現場・立場・役割”で見える世界が違う
視察同行の日本人スタッフ、日系企業の現地駐在員、現地採用者などでも、
本社の視点
現場の視点
営業担当の視点
管理部門の視点
が異なるため、全員が善意で話していても情報が揃わないことがあります。
5. ベトナムでは「例外運用」「地域差」「担当者差」が大きい
制度や手続きが国全体で統一されているように見えても、実際は:
省など行政区画、担当者ごとに運用や解釈が少し違う
時期によって必要書類が変わる
市場慣行が業界によって異なる
といったケースも多いです。その地域・その担当者では正しくても、別の地域では通用しないということが起こるため、相手は善意で自分が経験したことを言っていても、結果的に誤情報になる場合があります。
というような感じで、実際とは違う説明を受けてしまうことが発生します。これらを防ぐには、
1.複数の企業(相手)に同じ質問をしてみる
2.制度などは専門家に必ず確認する
3.相手のポジションや立場などを考慮した上で理解するようにする
ということをしておいた方が後々のトラブルが起きにくいのでご参考ください。

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